嬉しいニュースと悲しいニュース

トマスさんから嬉しいニュース。SEEDSで中心となって働くダリットの女性スジャータの旦那さんが、新しい義足を得ることができました。以前の義足は、とても古く痛みを感じ、仕事にも支障が出ていました。SEEDSの支援で、2カ月待って、ようやく新しい義足ができました。



旦那さんのラーダークリシュナン。とても嬉しそうで、私も嬉しいです。ここは、SEEDSが配給を行っている病院。ちょうどこのあたりでいつも配給をしています。

嬉しいニュースもありますが、悲しいニュースも。高額紙幣無効化で、トマスさんも病院配給の穀物代等、お支払いができていない状況のよう。長い間の信頼関係で、どうにかやりくりをしているようですが、これからクリスマスシーズン。SEEDSはキリスト教のNGOなので、そしてケララはキリスト教の方々もとても多いので、クリスマスは大切な時。毎年、プラムケーキや贈り物を配りますが、今年はどうなってしまうのか…。トマスさんも心配していました。

高額紙幣無効化の状況は、ニュースではあまり聞かれませんが、耳にすると状況は悪化しているよう(特に都市部)。

政府によって新紙幣を入手できる上限が引きあげられたりしましたが、銀行に行っても現金がなく、なんの意味もない。何時間も並んだのに、自分の番までに現金がすべておわってしまうこともあるそう。

高額紙幣無効化より1カ月がたって、初めてのお給料日だったところも多いようですが、現金がないためお給料が支払われず、食べるものも買えない労働者は故郷へ帰ってしまう。経営者は労働者を失い、何もかもストップ。買い控えが進んで、マーケットにも物がない。(貧しい労働者は銀行口座を持っていない人も多いので、現金払いが多い。)

日本ではクレジットカードや電子マネーがどこでも使えるし、ネットバンキングも便利。でも、インドは電力やネットワークがいつも不安定で、オンライン決済が使えないことも多い。ここで急激に広まってきているようですが、こういう”プラスチックマネー”はまだまだ受け入れられず、そもそも、そういうものを持てるのはまだ一部の人だけです。貧しい人は、インターネットなんてアクセスできない。できても、やり方がわからない。

その日暮らしが多く、貯金すらできない人も多いインド。SEEDSの活動を通じて、貯金の意味を理解するダリットの人も多く、計画的な生活設計を立てる姿が見られるようになりましたが、そうでなければ、その日得たものはその日に使うという考えも少なくありません。

問題は山積みのようですが、ラーダークリシュナンの笑顔のように、喜びを見出していきたいです。