気候変動とケララ州

温暖な気候で観光地としても有名なSEEDS-IDNIAがあるケララ州は、近年、恐るべき気候課題に直面しているというニュースがありました。
支援を通じても実感することが多くあるので、簡単ではありますが、ニュースの記事とあわせながらまとめてみました。

西はアラビア海、東はそびえ立つ西ガーツ山脈に挟まれたケララ州では、現在、気温の上昇、不安定なモンスーン、異常な降雨現象、激化する自然災害が日常的になっています。


これまで、モンスーンは6月1日頃に始まり、新学期の始まりと農耕期の始まりを告げるものでした。
しかし、このパターンは過去6年間で劇的に変化しており、2023年も例外ではなかったとされています。
ケララ州の農業は、これまで降雨パターンとうまく一致していましたが、この気候変動によって予測不可能になり、農家の人々は特に苦労しているとされています。

2023年は、ケララ州の降雨量は2202.3mmで、平均の2890mmと比較すると24%の不足でした。
6月から始まる南西モンスーンは平年より34%下回り、冬のモンスーンといわれる北東モンスーンは27%上回ったとなっていますが、全体的に見れば不足しています。

それでも、2023年には極端な降雨現象が発生し、一部の地域で壊滅的な地滑りや鉄砲水が発生しています。
こうした災害は、2〜3時間の短時間に降った激しい雨によって引き起こされているとのこと。
前例のない降雨により運河が氾濫し、雨水が住宅地や商業地域に浸水し、広範囲に被害をもたらしています。

この要因としては、以前のような均等に分布した雨ではなく、より集中的な豪雨が発生することが挙げられています。
ケララ州の土地は西ガーツ山脈から東海岸まで傾斜しているため、鉄砲水や地滑りに対して脆弱である上に、湿地が縮小し、雨水を吸収する土地の能力が低下し洪水が発生するとされています。

また、近年ではガストネード(つむじ風)も新たな気候課題になっており、農作物やインフラに甚大な被害をもたらしているとされます。
ケララ州では地理的に上空の雲の構造が頻繁に変化するため、こうした気象状況がより起こりやすくなっているとされています。
夏の気温や湿度も上昇しているため、電気量も記録的な使用量になっています。

ケララ州は災害への備えや気候変動に対する対策への投資を開始しているとのことですが、状況の緊急性から、地域ごとに行動を起こす必要があり、地方レベルで災害管理計画を作成しているとのことでした。
課題に直面しているものの、地方レベルで積極的な対策がなされていることは、より回復力のある未来へ希望の光をもたらしているとされています。

ケララ州は本当に自然が豊かで美しいところです。
支援を通じてこうした課題に向き合う機会があることにも感謝しながら、万物が幸せに暮らすことができるように、これからも活動をサポートしていくことができればと思います。

ニュース記事:As climate crisis plays havoc with its weather, Kerala initiates mitigation measures