ケララの発展
今日の写真は、山岳地帯に暮らす先住民族へ物資の支援を行った時の様子です。
本格的な夏が始まり、雨季が始まるまではとりわけ暑く、水も入手しづらくなるなど、厳しい環境が続きます。
州政府の財政難のためにさまざまな福祉政策が削減されているとのことなので、こうした生活物資の支援は大きな支えになることと思います。
福祉政策が盛んなケララ州ですが、1970年代はインド国内でももっとも貧しい州の一つであり、平均所得は全国平均の約3分の2だったとされています。
しかし、その後の数十年でケララ州は一人当たりの所得が全国平均を50〜60%上回るまでに成長しました。
貧困状態にあった当時でも、ケララ州は高い識字率、優れた医療、長い平均寿命といった人間開発の指標で他の州を上回っていたとされ、特に北インドと比較すると、教育や医療の面で顕著な違いがあったとされています。
この成功の要因として、以下のような点が挙げられていました。
・歴史的に社会的な平等を重視する文化があり、これが社会福祉の向上に寄与
・左派政党の影響力が強く、社会主義的な政策が推進された
・政府が教育と医療への積極的な投資を優先し、質の高い生活を実現
歴史的に社会の平等を重視する文化があったことについて、その理由は多岐にわたるのでしょうが、地理的な背景が深く関わっているとされています。
ケララ州はアラビア海に面しており、征服ではなく古くから盛んな交易を通じてキリスト教やイスラム教が入り、宗教的に多様な州です。
こうした宗教的な多様性と調和の文化が、左派的・平等主義的な政治風土と深く結びついてきたとされています。
現在は厳しい財政難で改革が求められているときではありますが、良い方向に向かうことを願っています。