ケララの導き

今日の写真は、だいぶ前に届いていた写真になってしまいますが、病院で食事の配給を行った際の様子です。
引き続き、パンやバナナ、お水などを患者さんやご家族にお配りしています。

ケララは一年を通して温暖な地域ですが、今はちょうど、もっとも過ごしやすい季節を迎えています。
朝晩の気温は20度を少し超える程度で、日中は30度を上回るくらいです。
病院も一年の中では比較的落ち着いた時期となりますが、この穏やかな自然の中で、現地の人々が健やかに過ごせる日々が続くことを願ってやみません。

昨年のケララの気候を振り返ってみると、2025年は州の気象史の中でもかなり穏やかな一年だったようです。
2018年の壊滅的な洪水とは対照的に、極端な降雨は5回にとどまり、大きな自然災害の発生も見られなかったとのことでした。
2月に入ると暑さが一気に増していきますが、どうか今年もこの穏やかな状況が続いてほしいと強く願っています。







少し前のことになりますが、ケララ州が近年、生活に必要な最低限の条件すら満たせない「極度の貧困」をほぼ解消したと発表し、大きな話題となりました。
この取り組みは、ケララ州の経験から学ぶべき教訓として、ASEAN諸国向けのニュース記事でも詳しく紹介されています。

一般的には「経済が成長すれば貧困は自然に解消される」と考えられがちですが、その記事ではケララ州の事例を通じて、成長だけに頼る見方の限界が示されていました。
注目すべきなのは、ケララ州が決して急激な経済成長を遂げた特別な地域というわけではない点です。
成長率は年6〜7%と安定していましたが、貧困解消の決め手となったのは、成長そのものよりも「人」に焦点を当てた政策でした。
社会的に弱い立場にある人々へ、必要な支援を確実に届け続けたことが、この大きな成果につながったとされています。

ケララ州が特に重視したのは、統計には表れにくい「見えない貧困層」を取りこぼさない姿勢でした。
地方自治体と地域住民が手を取り合い、誰がどのような困難を抱えているのかを丁寧に把握する仕組みを整えたことで、本当に支援を必要とする人々へ、確実に手を差し伸べることが可能になったといいます。
単に貧困率という数字を下げることだけを目的とせず、一人ひとりの生活実態に真摯に向き合う姿勢が徹底されていました。

また、支援の内容も非常に現実的なものでした。
食料や医療、住居といった、生きるために欠かせない基本的なニーズを満たしたうえで、就業支援や職業訓練へとつなげていく。
与えっぱなしの一時的な援助に終わらせず、自立を後押しする支援として設計されている点が大きな特徴とされています。
さらに、一度貧困から抜け出した後も再び困窮することがないよう、継続的なフォロー体制も整えられていました。

ケララ州の事例が教えてくれるのは、経済成長に加え、教育や保健への投資、地域に根ざした行政、そして透明性の高いガバナンスがそろってこそ、貧困解消が現実のものになるということです。
「極度の貧困をなくす」という取り組みは、単に統計の数値を良くすることではなく、社会の中で最も弱い立場にある人々が、尊厳をもって暮らせる状態を実現することにあるのだと改めて教えられます。

私も初めてSEEDS-INDIAを訪れてから、20年以上の年月が経ちました。
SEEDS-INDIAの活動にはそれ以上に長い歴史があり、その間、さまざまな困難に直面しながらも、支援が途切れることはありませんでした。
こうした草の根の活動が絶えることなく続けられてきたからこそ、今の地域の安寧があるのだと感じています。

このような活動を長年続けてこられたのも、皆さまの温かいご支援のおかげです。
劇的な変化がすぐに目に見えるわけではないかもしれませんが、皆様からいただく温かなお気持ちは、確かにより良い社会を築く力になっています。
いつも本当にありがとうございます。