孤児院のこと

ケララ通信をお読み頂きありがとうございます。今年のケララ通信について、同じご質問をいくつか頂いているので、ここで書かせて頂きたいと思います。

ご質問は、孤児院の閉鎖についてです。

実は、孤児院は少し前から閉鎖されていました。孤児たちの面倒を住み込みで見ていたお母さん(保母さんのような方)が体調を崩し、その際に一度孤児院を閉じていたのですが、その後、さまざまな規制によって、再開が難しくなっていました。いつか再開できるようにといろいろ案を練ったりしていましたが、やはり難しいようです。

規制とは、ケララ州に乱立する孤児院を整備するためのようなものです。まず、2キロ以内(5キロだったかもしれません…。確かでなく申し訳ございません。)に孤児院が一つ以上あってはいけないということ。SEEDS-INDIAの近くにはキリスト教の教会があり、そこで孤児院があったため、一度閉鎖した孤児院を再開するのが難しくなりました。

キリスト教徒が多いケララでは教会も多く、多くの教会が孤児院を持っています。その他にも、利益目的で孤児院を運営している組織もあるのではないかなど、孤児院が多く存在し、中には衛生環境などが非常に悪いものもあるとのことでした。これらを整備するためにさまざまな規制が生まれています。

例えば、孤児たちの面倒を見るお母さん役が常時2人いること、キッチンや寝室を含めた孤児院の衛生環境管理などなど、規制にそって再開をするには、1か月あたり最低でも1500ドル(18万円くらい)必要になります。

SEEDS-INDIAは小さなNGOですし、孤児院だけでなく、病院の配給、子どもたちの学習支援なども欠かせず、1か月1500ドルを孤児院だけのために常に確保するのは非常に困難です。何といっても、1年や2年の話ではなく、子どもたちが成人するまでは責任を持ってお世話をしなければなりません。トマスさんも歳をとってきて、前のように精力的に動けなくなったとも言っていました。

このようなことがあり、これから先も、孤児院の再開は難しいとみています。その分、ダリット村の子どもたちの学習支援などに力を注いでいます。

ご理解のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。