ケララ州の財政難
先週、ケララ州では産業がないことが以前から大きな課題になっていると更新させていただきましたが、興味深いニュースがあったので改めて更新したいと思います。
というのも、ケララ州がインドの中でも特に厳しい財政難に陥っているというニュースです。
ケララ州は、医療と教育において優れた成果を達成しており、乳児死亡率は低く、平均寿命も延びています。
その一方で、深刻な財政難に直面しており、経済発展モデルの持続可能性が問われているとされています。
ケララ州の債務残高対GSDP(州内総生産)比率は約35%で、インド全体の平均25%を大きく上回っています。
この高い債務負担により、開発投資が制限され、財政運営が一層厳しい状況に追い込まれていると言います。
財政難の主な要因は、社会保障や公務員給与への多額の支出、限られた税収、中央政府からの資金移転への高い依存度などが挙げられています。
ケララ州の経済は、製造業などでなく、人材輸出に大きく依存しています。
特に医療や教育分野の熟練労働者を、インド国内外に多く送り出しています。
この人材輸出により、インド全体の海外送金額の23%がケララ州に流入しており、州民の生活水準向上に貢献しています。
しかし、このモデルには重大な課題があるとされています。
送金による富は個人の所得向上には寄与しますが、州政府の税収増加にはつながりにくいという点です。
製造業中心の州では製品輸出から税収を得られますが、人材輸出からは直接的な税収を得ることが困難です。
その結果、州民は比較的裕福である一方で、州政府は深刻な財政難に陥るという矛盾した状況が生まれています。
州政府はGSDPに対する税収の割合を増やすなど、歳入増加に向けた取り組みを進めていますが、依然として中央政府からの補助金に大きく依存しており、財政的な自立性は限られているとされています。
こうした難しい課題に直面しているため、ケララ州では持続可能な発展モデルの構築に向けて、税収基盤の拡大や産業構造の多様化など、抜本的な改革が求められている状況です。
このケララ州の財政難はだいぶ前から伝えられていて、支援で住居を建てていた人たちが支援を打ち切られ住む場所を失ってしまったりというニュースも伝えられています。
前回の更新でも書かせていただきましたが、社会福祉制度を十分に受けられない人々に支援を行なってきたのがSEEDS-INDIAのようなNGOの活動です。
ケララ州では災害も多発していて本当に厳しい状況に直面している時だと思うので、今後も可能な限り、協力を続けていくことができればと思います。