野生動物との関わり

近年、日本では熊による被害がニュースになることが多くありますが、野生動物との関わりの課題は自然が豊かなケララ州でも長く続いています。

SEEDS-INDIAでは山岳地帯に暮らす先住民族の支援を行っており、そこでは象や虎といった野生動物と隣り合わせに暮らす人々の姿があります。
人も動物も同じ自然を分かち合っているため、お互いに安全に暮らせる工夫が必要とされていますが、最近、ケララ州でのこの野生動物に関する記事があったので、少しまとめておきたいと思います。

写真は、少し前に先住民族のコミュニティに生活物資を届けた際の様子です。




最近の記事によると、ケララ州政府は、人と野生動物がより安心して共生できる環境をつくるため、「野生動物保護法(1972年)」の改正を検討しているとありました。

現行法では、野生動物が人の住む地域に入り被害を及ぼした場合でも、すぐに排除措置を取ることは難しく、多くの確認や手続きを経る必要がありました。
今回の改正案では、状況に応じてより迅速かつ柔軟に対応できるようにすることが目的とされています。

改正案には、次のような内容が含まれています。

1. 柔軟な対応の拡充
森林局は、動物を鎮静させたり捕獲したり、別の場所へ移すといった方法を、現場の状況に応じて選択できるようになる
特に人の暮らしに直接的な危険が及ぶと判断された場合には、速やかな安全確保のための措置が可能となる

2. 有害動物の扱いについて
イノシシなど、人の生活に繰り返し影響を及ぼす野生動物は「有害動物」として指定される場合がある
これにより、地域ごとに適切な管理策をとることが可能になる

3. 特定種の保護管理
在来のサルである「マカク」は、新たに管理対象に加えられる
必要に応じて不妊手術を行うことで、個体数の調整が可能となる

4. 規制の見直し
中央法に基づく手続きが一部緩和され、地域の実情に合わせた柔軟な対応ができるようになる

この改正案が成立すれば、ケララ州における人と野生動物の関わり方に新たな局面が開かれることになるのかなと思います。
最近では、首都のデリーでも野犬の捕獲命令が出され、大きな議論になり、抗議活動にも発展しました。

急速に変化する社会の中で、人の暮らしを守ることを大切にしつつ、動物たちの生態にも配慮した形での調和を築くことが求められていると思います。
動物と人間が安全に暮らすことができるように議論が深まり、良い方向に向かうことを願っています。