ケララ州の歩みについて・続き
今日の写真は病院での食事の配給の様子です。
現在は一年でも過ごしやすい時期なので、雨季に比べれば、病院の状況も落ち着いているようです。
引き続き、パンやバナナ、お水などを患者さんやご家族にお配りしています。
常夏のケララですが、この時期は一年の中では気温も低めの時期になり、日没も早くなります。
クリスマスが近いのもありますが、こうした時期は、日々に光を灯すように積極的に活動が行われています。
先日、ケララ州政府がケララ州には「極度の貧困がなくなった」と公式に発表したというニュースを更新させていただきました。
これに関連してさまざまなニュースがあったので、インドの現状とあわせながらまとめてみたいと思います。
インドでは近年、多くの州が経済成長を最優先に掲げ、工業化や投資誘致、インフラ整備に力を注いできました。
GDPを伸ばし、雇用を生み出せば、人々の生活は自然に豊かになり、貧困もいずれ解消されるという流れで、実際に高い成長率を達成した州もあります。
でもその一方で、成長の恩恵が社会全体に十分行き渡らず、貧富の格差や社会的な不安が固定化しているという問題も明らかになってきました。
こうした中で、対照的な存在として注目されていたのが、ケララ州です。
ケララ州の最大の特徴は、経済成長を政策の出発点にしてこなかった点にあります。
ここでは「まず人間の生活の質を底上げすること」が重視されてきました。
教育や医療、食料へのアクセスは、経済成長の結果として与えられるものではなく、人が尊厳をもって生きるための前提条件だと考えられています。
ほぼ100%に近い識字率や低い乳幼児死亡率、長い平均寿命といった指標は、この姿勢が一時的なものではなく、長年の積み重ねによる成果であることがわかります。
ここで話題となった「極度貧困の根絶宣言」も、この文脈の中で理解すると分かりやすくなります。
ケララでは、貧困を抽象的な統計の問題として扱うのではなく、実際の家庭を一軒一軒訪ね、それぞれの状況に応じた支援を行ってきたとされています。
現金が必要なのか、住居や医療が必要なのか、あるいは仕事の機会なのかを現場で判断し、地方自治体や地域コミュニティが中心となって支えていく仕組みです。
福祉は「上から与えられる施し」ではなく、生活に根ざした社会の機能として位置づけられています。
このモデルが示しているのは、福祉と経済成長を対立するものとして考える必要はない、という点です。
多くの州が「成長すれば、いずれ貧困は減る」と未来に期待する中で、ケララは「成長を待たずに、今ある貧困を終わらせる」という選択をしてきました。
その結果、社会の分断が比較的抑えられ、人々の生活の安定が保たれてきたのではないかと考えられています。
もちろん、ケララのモデルにも課題はあります。
産業の活力や雇用の創出の面では弱さがあり、若者が州外や海外へ働きに出る傾向も続いています。
それでも、経済成長一辺倒の政策が限界を見せつつある今、ケララの歩みは別の視点を与えてくれています。
ケララの事例が示しているのは、「これが唯一の正解だ」という単純な答えではなく、社会や歴史、文化の違いによって、選びうる道は決して一つではなく、それぞれの地域に合った方法があるということだと思います。
さまざまな試みや選択が重なり合いながら、それぞれの場所で最善の形が見つかっていくことを願っています。
その多様な道の先で、より豊かな社会が広がっていくこともあわせて願いたいと思います。
*ご寄付の送金について*
次回のご寄付の送金になりますが、クリスマス頃を予定しています。
完了した際には、改めて更新させていただきます。
皆様、いつも本当にありがとうございます!






