出稼ぎ労働者のコミュニティ

日曜日の午後は、タミルナードゥ州から出稼ぎに来ている人々が暮らす別のコミュニティに行きました。今まで知らなかったのですが、SEEDS-INDIAと食事の配給を行う病院の中間にありました。


この日はジャヤーさんが案内をしてくれました。右側の赤いサリーの女性。このコミュニティに住む女性で、たまにSEEDS-INDIAのお手伝いをしてくれるそう。サリーさんが不在なので、トマスさんの自宅を私が来る前に掃除をし、泊まれるように準備をしてくださっていました。感謝。トマスさんの自宅は学生の時にワークキャンプで宿泊したくらい広く、雑魚寝で20人くらい泊まれるようになっています。

ジャヤーさんは、豪雨災害があった時も、支援物資を配る取りまとめをしてくれたそうです。私はてっきり集まった人々にただ物資を配るのかと思っていましたが、ちゃんと支援を受ける人のリストがあり、当時は誰がどれだけの支援を受けたのかわかるようにまとめられていたそうです。あの混乱の中で被害を把握してリストまで作るのは大変だったと思います。


このコミュニティには50戸くらいあります。と言っても、電気や水道のない3畳くらいの部屋が1戸となります。ひと月、1500ルピー(2300円くらい)の家賃。3部屋くらい電気が来る部屋があり、そこで携帯の充電をしたり、井戸端会議をしたりするそうです。

夕方に訪れたので、仕事を終えて帰ってきた人が多く、食事作りの最中でした。共用で使える炉が用意されていて、ガスはないので、薪を使って調理。ジャヤーさんが、こうやってやるのよ、と見せてくれました。


出稼ぎに来る人々の仕事はさまざまですが、日収は500ルピーから600ルピー(800円から900円くらい)。良いと800ルピー(1200円くらい)くらいもらえるようです。しかし、大変な肉体労働で、健康を害することが少なくないそう。

豪雨災害の際は、このコミュニティも完全に水没しました。州外の者ということで支援を得られず孤立し、とても困っていたのだそう。汚水が入り込んだ井戸の浄化も支援し、今ではとてもきれいになっていました。

病院の配給食が余った際には、このコミュニティに分けることもあるそうです。そんなに広くはないコミュニティですが、なんだか長居をしてしまい、日曜日の夕方はこのコミュニティの訪問だけで終わってしまいました。

もともとがシンプルな生活であることもあり、今ではすっかり元の生活に戻っているように見られますが、雨量が異常になっている今、再び水没することも大いに考えられます。貧しい人々は水の影響を受けやすい低地に住まざるを得ないのもあり、環境問題が深刻化して一番影響を受けるのは社会的弱者であるということを、目の当たりにしました。


ちなみに、ジャヤーさんは旦那さんと2人で暮らしていますが、息子さんを交通事故で亡くし、それにショックを受けた娘さんが鬱になり、どうにか結婚をしたにも関わらず、後に自殺をしてしまうという辛い境遇の中にあるのだそう。

そんなことを微塵も感じさせない明るさで、それぞれが内に秘めているものの深さに、考えさせられる気持ちでした。トマスさんがお礼に道端で売られている軽食をご馳走しようとすると、今日はもうご飯作ったから、と遠慮。いいからいいから、というと、じゃあ夫の分と2つだけ、と受け取ってくれました。